土曜日, 9月 20, 2008

山野が幸せになるためには(『魔王』)

ドラマ『魔王』の中のどこにも、救われる要素をみつけることができない山野。ドラマが終わってもその回りを、止まっている時計さながらに、ぐるぐると回ってしまっているのですが、要するに、山野が幸せになるには、別の世界で生きるしかないのかも。

ドラマでない現実の世界でも、いじめがあって、それは無かったと嘘を言われたり、大事な人を傷つけられたり、理不尽な目にあったりして、どこまでもそれは修正されずに、加害者はのうのうと暮らしているということは、あるのでしょう。

その時に、いくら悔しさ悲しさで共鳴できても、成瀬みたいに後ろ向きの人間とコンビを組んではだめだ、というドラマだった、ということなのかね~。

成瀬と山野がどん底コンビを組まなかったら、復讐は領の頭の中だけにあって、実現はされなかったかもしれないし。

どん底人間の成瀬は復讐の途中で、自分だけ芹沢親子に沢山謝ってもらって。
いくら直人が「何でもします」と涙ながらに訴えても、山野の事もいじめの事も、英雄の濡れ衣の事も、成瀬=友雄は一度も直人に話してはくれなかった。

元々が、か、途中からか分かりませんが、寂しい哀しい自分の人生を復讐を通して終わらせることが実は成瀬の目的だったのだから。ちゃんと直人が罪を償ったら困るわけです。生きなければいけなくなってしまうから。

結局、成瀬=友雄は一人逃げして直人と仲直りしてしまうし。

あの世に行った時、友雄は山野のことを思い出してくれるかな? ナイフを持ち出した山野は、許されないのかな。

山野と成瀬がコンビを組まなければ、山野が成瀬を刺してしまうこともなかっただろうし。

どん底の成瀬と組んでも、いいことは何もなかったのですね。

山野は職場の光泉出版で、山野のしおりさんに出会えればよかったのにね。別の世界にこそ幸せがあったのだろうに。成瀬はしおりさんと出会って、山野とのコンビを終わらせられたらよかった。

現実にも、実は過去を忘れるしかない、という事はあるでしょう。現実に復讐はできないし。山野の事を考えていてやっとそこにたどりつきました。

それにしてもこう書くと、ホントに成瀬はどん底なやつ。悲しいよ~、と心の中で叫んでいる駄々っ子のよう。よくぞ大野くんは、こうもどん底な役を貰えましたね。

どん底の演技、お疲れ様でした。そして、ありがとう。そんな成瀬を生きてあげてくれて。

また一話から見直したら、前とは全く違う成瀬領が見えてきそうです。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 これまでに2度ほどコメントさせていただいた匿名の紅(くれない)の城といいます。オルゴールぴょんさんのドラマ「魔王」の大野くんへの熱い思い、やや圧倒されつつ読ませていただきました。ドラマをすべて見終わってからこちらのブログにたどり着きましたので、「ん?」「それはどうよ」な~んて思いもしながら楽しく読ませていただきました。

 友雄=成瀬は、芹沢に大切な人を失うことがどれだけ悲しく・苦しいことか、真実を捻じ曲げたことによって、芹沢が周りを不幸にしていっているということを思い知らせるために、じわじわと芹沢を追い詰めていきます。最愛の弟と母を失って、弟の名誉まで傷つけられたその日から、友雄は「復習する」という思いだけで生きてきた不幸な人です。
 もし、少年成瀬領の死に立ち会っていなかったら、もしかしたら必死に生きるために働きながら、「復讐心は不幸以外に何も生み出さない」と悟って、違った前向きな人生を歩んでいたかもしれませんね。でも、そうはならなかった。成瀬領という隠れ蓑を手に入れた友雄は、自分の過去を捨て、必死に働きながら勉強したのでしょうね。法律のプロとなれば、物的証拠や動機、アリバイなど、全てが揃わなければ有罪にされることはないことも分かっているし、自分の手を汚さずに、11年前の事件の関係者を追い詰め、殺害し、利用した人が有罪にならないように弁護する。綿密に、何年もかけて計画していったのでしょうね。そして一番不幸だったのは、山野と組んでしまったこと。

 オルゴールぴょんさんは「山野が救われない」と言っておられますが、私は、山野はああいう終わり方しかなかったと思っています。
 最初に復習計画を持ちかけたのは、たぶん成瀬の方だったでしょう。山野をいじめるのをやめさせようとして、英雄が死んでしまったから。でも、そもそも山野がナイフさえ持っていなかったら、英雄は死ぬことはなかったのに・・。山野は自分がナイフで芹沢たちを刺しに行こうとした時の事をずっと後悔していたと言っていましたが、証言もしないで逃げたわけですよね。成瀬は「あなたは十分苦しんだ」と言いましたが、私には納得がいきませんでした。そして、成瀬は自分に警察の目が向かないように、そらちゃんを連れ出したり、赤い封筒を送ったりする役目を山野に手伝ってもらっていましたが、自分の手も汚さず、成瀬の計画がうまく運ぶのをただ楽しんでいたのは山野なんです。
 復讐することは、ただ新たに不幸を生み出すだけだと気付いた成瀬でしたが、山野が復讐をやめさせようとしなかった。逆に成瀬に指図するような態度になって、立場が逆転してしまいます。そう、「魔王」は山野だったんです。山野の背後で大きく見開かれていた赤い目、山野が悪魔に魂を売り渡した瞬間です。彼は最後まで、人が死んでいくことに少しの胸の痛みも感じなかった。「自分をいじめてきた人間が死ぬのは当然」といった冷たい心。それこそ恐ろしい壊れた心です。ああいう形でしか終われなかったのではないでしょうか。

 誰も救われないドラマでしたね。せめて英雄の名誉を回復してあげたらよかったのに、って思いますけど、もしかしたらしおりさんが最後にハーモニカに触れたことによって、全てがはっきりするのではないのでしょうか。DVDを買わないと、そこは分からないんですけれど。
 長くなってしまいました、すみません。

オルゴールぴょん さんのコメント...

紅の城さん、こんばんは。何度かコメント下さっているのですね、ありがとうございます!

紅の城さんも、のめり込んでますね~、私の方こそ圧倒されそうですよ~。山野は、救われるはずのない人間、というお考えというということでしょうか。あの「赤い目」は、山野を見ていましたものね。

ストーリー的には山野って、脇役じゃないですか。成瀬が魔王でなくなって、山野だけが魔王に昇格っていうより、終盤は宗田も典良も魔王化してたし、子供達に真実をねじ曲げさせた栄作が一番の魔王だったような気もするし、それら全部を含めた魔王的な流れがあって、あの赤い目は山野だけでなくそれら全部も見ていたのかもしれない、とか、思うんですけど。山野の内面も、キーマンなのに描かれている時間が短いので、善人だったのか悪人だったのか、賢かったのか愚かだったのか、よく分かりませんね。その分、視聴者に様々な解釈をさせてくれるのだと思います。

成瀬もね、どんな風にしてあの復讐計画を実行するところにたどり着いたのか、描かれていない部分が多くて、私達の想像をかきたててくれますね。

私の昔のリアルタイムの記事は今から考えるとトンチンカンな事を書いてますね。必死でついて行こうとしてたんですよ~。

またおいで下さいね。魔王は終わってしまいましたが。あ、大野くんは終わらないって言ってましたけどね。

匿名 さんのコメント...

 「山野って、脇役じゃないですか」・・?オルゴールぴょんさんはそういう捉え方ですか?確かにドラマの主役は大野くんと生田くんでしたが、ドラマの中で二人を終盤で引っ掻き回した最大のキーマンは山野でしょう。確かに今日までどういう人生を歩んできたのかは詳しく描かれていませんでしたけど。

 最愛の家族を失って復讐に燃える成瀬は、確かに魔王に見えますが、弟への‘愛’というものは忘れていません。復讐を果していくうちに、一つの駒と思っていたしおりさんに予想外に心引かれ、弁護士の仲間、そらちゃんたちとかかわって、自分がとても温かい愛に包まれていることに気付き、その愛を失うことの恐ろしさ、自分のしていることからは、更に不幸を生み出すだけで何も生み出さないことを悟って、深く後悔します。が、もう既に取り返しのつかないところにまで駒は進んでいました。その段階で、成瀬はこのまま生きてはいけないだろうなと思いました。と、同時に、悪魔は成瀬の心に天使が宿ったのを感じ、興味を失って成瀬から離れたと私は受け取りました。

 芹沢も学生時代は不良のような真似事をしていましたが、家庭を顧みない父栄作への反発のような、愛情に飢えてのことで、友雄を刺してしまった日から、ものすごく自分を責めていました。彼も心の優しい人間でした。
 では栄作が魔王か?彼は自己中心的な人間で、時には人を不幸に追いやってでも自分の立場を守ろうする、一見悪魔のような人ですが、実は、本当は息子たちが大事なのに、愛情表現がとても下手な人間で、地位と財力があったために道を誤ってしまった、普通のお父さんでした。

 では宗田は?彼も事件の嘘の証言をさせられたことから道を踏み外してしまい、荒んだ生活をするようになったのです。本当は正直な子だったのでしょう。
 典良も裏切られたと知っても、まだ妻を愛していたが為に、恐ろしい道に進んでしまいました。
 命を落とす寸前の彼らは、いずれも心の優しい一面を覗かせています。魔王の操る糸に踊らされ、最後に悪魔の心を吸い取られて本来の素の人間に戻ったというのでしょうか、決して真の悪人ではなかったんだと思わせてくれますね。
 全員魔王のように見える、でもそうじゃない?人間は心の中に大なり小なり鬼を飼っていますよね。その鬼の心を食べるために魔王がいろんな人に次々ととり付いて操っていたと思えます。

 では山野は?彼の場合は逆で、最初はいじめられていた可哀想な人だったのですが、成瀬の計画がうまく運ぶうちに、どんどんと楽しくなっていき、本当ならば、「もう十分です。もうこれ以上命が失われても英雄は喜ばない」と止める立場であって欲しいのに、「英雄」の名前を出して、躊躇する成瀬を更にあおっていきます。彼の心の中には悪魔が棲みついてしまったようでした。

 成瀬も芹沢も許し合って息絶え、山野もいなくなってしまいましたが、結局魔王って死ぬことはないです。また心に鬼を飼っている人に次々ととり付いていくのでしょう。だから「魔王は終わらない」のでしょうね。

 ちょっとのめりこみすぎた紅の城でした。

オルゴールぴょん さんのコメント...

紅の城さんこんばんは。お互い、のめり込んでますね~。嬉しいです。

山野も、少なくとも11年前は、英雄がいじめから守りたいと思うような、いい部分を持った子だったはずですよね。
私は、成瀬=友雄が「真実はねじ曲げられない」と何度も言いながら、結局英雄の濡れ衣を晴らしてくれずに、最後までねじ曲げられたままにしたことが残念だったんです。

お兄ちゃんらしくないじゃん、て思いました。だから、山野が英雄のことを持ち出して復讐にこだわる気持ちには共鳴できる部分があったのです。最後まで英雄のことを考えていたのは、成瀬よりも山野なのではないか、と思う部分があるのです。
紅の城さんは、そこを逆に山野に悪魔が棲みついたよう、と感じられたのですね。山野が成瀬を止めるのは、芹沢達が山野にいじめの事を謝った後でなければ無理だと思います。

紅の城さんが仰るように、山野以外の登場人物にはどこかしら、救われる要素がありますよね。あの世に行ってお互い笑いながら昔話のネタにできるような。でも、仰るように、山野にはいい話題がないのです。だから、紅の城さんが仰るように、あの物語のままだと、山野は悪魔の仲間のようで、地獄へ落ちますね。

私はそれは残念だと思ったんです。後半引っ掻き回したと言っても、山野1人がというより、登場人物それぞれの中の業みたいなものの止められない流れによるものも大きかったと思います。山野は地獄へ落ちても、愚かな小悪魔っていうか、やっぱり魔王というほどの大物の扱いではなかったとは思います。だからやっぱり救ってやって欲しかったんです。

魔王は終わらない、ですね~。私ももう一度最初から見たら、違う感想を持つかもしれません。でも怖いですよ~。今度は大野くん目線の感情がぶわああああ~、と、襲ってくるかも? 初ドラマということで思い切り緊張してましたから。見てるだけなのにね。

私の中ではまだ最終的な感想にたどりついていないのかもしれません。お互い、終わってませんねぇ。

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