土曜日, 9月 13, 2008

魔王第11話(最終話)

魔王、終わりましたねぇ。

Johnny's web には大野智くんのメッセージで「『魔王』は終わらない!」って書いてあったんだけど、終わったみたいだよ、さとしくん。

生田斗真くんのブログでは「終わった実感がない」ということだったので、大野くんの中で、まだ終わった気がしない、ということかもしれません。本当に、全身全霊を込めて、成瀬領という人を理解し、作り上げてくれたんだと思います。大野智とは別人の成瀬領がいました。

救われない話だったねぇ。

ああも、皆が皆救われないことにしなきゃいけなかったのかね。山野が魔王化して葛西を殺し、山野は狂気に落ちました。警官によって射殺、って、そこまでするかね。11年前の事件にかかわった人たちは、全員助からなかったし、お兄さんの典良さんも事件には関係なかったのについでに(?)巻き込まれて自殺。最終話で、典良、栄作、葛西、山野、直人、成瀬、と、6人が死にました。ドラマって、そういうもんなのかな。

11話は展開が速くて、感動したとかより、感情的にはついて行けなかったところが多かったです。一人ひとりの役者さんの演技はすばらしくて、もっと、その場面にひたりたい、と思うまもなく次の展開で、もったいなかった。

特に、石坂浩二さんの芹沢栄作が、典良の死に接して今までを悔いる所とかは、唐突に感じました。この人は物語全体での一番の大魔王だったと思うんだけど、何をどう反省したというのか、あまり伝わらなかったのでは。

で、何とかこの子供達が、みんな死ななくてもいいような展開もあっただろうに、何が悪くてこんなことになっちゃって、と、灰色に沈んでしまいます。

11年前に栄作が真実をねじ曲げなければこうはならなかったし、その前に直人のいじめをさせないですめばこうはならなかったし、復讐事件が起きてから何度か直人が栄作に意見した時も栄作は頑なで反省する様子はなかったし、成瀬との一騎打ちの時も高圧的だったし。

「私の背負っているものの大きさが分かって言っているのか」と言っていた栄作さん、最後の最後、死ぬ直前であれだけ強く反省してくれるのを見られたのは、ドラマだったからこそかも。現実の頑固なおじいさんは最後まで反省はなかなかできないものかもしれません。悲劇を生んでいても。

石坂浩二さんの重厚な演技はどの場面でも圧倒的な存在感がありました。その心の変遷や、もっと多く成瀬さんとのからみのシーンとかがあれば、視聴者が色々考えるよすがになったかも。

でもそれは無かったから悲劇のドラマになったわけで。すごかったですねぇ。成瀬も、直人も、山野も、典良さんも。愛に生きた葛西くらいは、助けてやりたかったな。前半善良な、癒しの人だった、事件と関係のなかった典良さんも。

そして。

皆さん、ご覧になりましたよね。大野智の演技がどんなにすごいものか。魔王になりきれない人間成瀬領=真中友雄に、なりきっていました。私は最終話まで、真中友雄が理解できていませんでした。復讐の物語だったけれど、結局、復讐ができない人だった。

物語の前半、ぞっとする笑いの表情や、ちりばめられた『神曲』、『ファウスト』、『地獄の門』、「本当の恐怖を教えてあげよう」のセリフなどで、すっかり騙されました。成瀬領=真中友雄が、魔王となって、自ら地獄へ降りて、復讐を通して、真実をねじ曲げることの愚かさを明らかにしてくれるのかと思いました。それは決して正しい方法ではないけれど、「成瀬領は病気」という大野くんの解説があったから、正しくないけれどその目的に向かって進んでいるんだと思ったんだけど。

でも、復讐を実行に移す中で様々なふれあいを経験し、自分の中の感情を経験するうちに、『病気』から抜け出して、代わりに、自分がやっていることの罪の重さが分かるようになってしまった。正気になっちゃったら、魔王でいることが苦しくなってしまった。

最終話で、復讐はしてはいけないということを知っている者として、山野に刺され、芹沢直人と対峙して、自ら裁きを受けた真中友雄。

それが、大野くんが納得して演じた成瀬領=真中友雄、だったのかな。そんな感じで合ってますか、大野くん?

成瀬領=真中友雄が転生したら、舞台『テンセイクンプー』の薫や『アマツカゼ』の凪に、なりそうじゃありませんか。

つながった、かな。

だから『終わらない!』のかもね。

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