『魔王』に思うこと／『テンセイクンプー』

何ヶ月ぶりかで海外にいる弟が来てくれて、私は例によって『ジャニーズへの偏見』による哀れみのような眼差しを受けながら、一生懸命嵐の説明をしました。いずれ分かってもらえるハズです。私はもう、ず～っと嵐ファンでい続けるだろうから。

ちょうど、最近『魔王』にちなんで思い出していた『テンセイクンプー』のDVDを、一緒に弟にも見てもらいました。DSをやったり新聞読んだりしながらのチラ見で、あまり一生懸命見てくれなかったのだけど、

「これがあの『硫黄島からの手紙』の人なの？」

ちが～～～う！　それは二宮和也！

ニノ偉い。弟の価値観にニノは切り込んでくれてます。まぁ、そうやって、徐々に分かってくれると思います。色んな方向から嵐の値打ちの話題に触れて、何かの機会に真正面から、じっくりがっつり見てくれれば、伝わるはず。

さて、そんな弟の横で私は、改めて『テンセイクンプー』を再観賞しました。

『テンセイクンプー』の風峰薫は、家族も恋人もいないのです。時代を超える機械の転生機の実験モルモットにされ、江戸時代初期、大阪夏の陣で滅びてしまった豊臣方のための復讐を成し遂げようとしている真田十勇士と、その壊滅を狙う徳川方との争いに巻き込まれます。

死んでも誰も悲しむ者がいない、と解説される風峰薫は、やっぱり、真中友雄の生まれ変わりのように思えました。順番は逆なのかもしれないけれど。『テンセイクンプー』では、巻き込まれながら、死力を尽くして復讐をやめさせようとして成し遂げる風峰薫がいました。ストーリーに隙がなく、感動できます。

＝＝＝＝ここから、『魔王』を振り返っての話です。

『魔王』では、私が感動に没頭することを妨げているストーリー上の難点があります。２つです。

１つには、「真実はねじ曲げられない」と繰り返し言っておきながら、結局、真中英雄の名誉は回復されなかったということです。「いじめはなかった」という、嘘の新聞記事の内容が、修正される場面がドラマのどこにもなかったということ。最後まで芹沢直人が真中英雄を死なせたのは正当防衛だったということになっているままであったこと。渋谷東署の人たちも、しおりさんも、それは結局知らないのです。

実際にあるいじめが、なかったと偽られることは現実に起きています。その被害者の人に、見せられるドラマになっているのかどうか。それで自殺する子供だっているのに、ドラマの製作側は、そういうことを考えてくれなかったのか。

２つ目には、いじめの被害者であり、真中英雄が守ろうとした山野が、結局、狂ってしまったことです。成瀬と葛西を刺した後、狂乱状態になっていたところを警官に射殺されたというストーリーです。はい。気に入らないです。被害者を、さらに貶めるストーリー。

セリフのどこかに、直人から山野への謝罪の気持ちが表わされてそれが間接的にでも山野に伝えられたていたら。成瀬が葛西を許す前に山野を思い出させてくれていたら。せめて、「真実」を誰かに伝えることができて、英雄に報いることができたと山野が思うことができていたら。許すことはできないと、身をよじるほどに悔しさに苦しんでも、何かせめて死後には救われそうな展開にしてくれたら、よかったのに。

わざと誰も救われないように作っているドラマなんですかね。


最終回、これらが気になって、フルに感動できないんです。生田さんも大野くんもすごい演技なんだけれど。