日曜日, 8月 19, 2007

破綻していてもいいけど破滅はダメ

『花より男子』から嵐の松本潤を知って、嵐の他メンバーの事や、松潤出演の以前の作品を漁っています。いっぱい楽しめそう!と思って。

「ピカ☆ンチ」の1巻目を見て、「君はペット」の1巻目を見て、「ごくせん」の1巻目を見ました。子供と一緒に見てるというところがネック。夏休みだししょうがないか。それぞれの作品に役者としての松潤の成長の軌跡が想像され、じっくり楽しもう、と思うものばかり。

なのだけれど、一つだけ、灰色にしか見えない映画が出てきてしまいました。

「僕は妹に恋をする」。双子の妹に恋をする話だそうな。

原作は少女マンガで、少女コミックと言いながら、成人誌顔負けのエロ場面満載のマンガらしい。映画も見てないし、原作も見てないけど、見る気になりません。エロ全否定というわけではないけれど、近親相姦というのがいただけない。

花男みたいに、ものすごく異質な二人の恋愛という”ありえない組み合わせ”は、その破綻を乗り越えるドラマがあり得て、花男はそれが大成功しています。

でも近親相姦という”ありえない組み合わせ”は、もともと近い者同士だから、二人の関係に乗り越えるドラマはない。双子っていう設定で年齢をわざわざ揃えていても、自分の分身に恋しているようなもの。双子の恋愛、という設定では、どうにも話の発展のしようがなくて、最初から破滅的。

禁断という枠を利用して、それを乗り越えるというエロのドラマくらいしか、あり得ないでしょう。原作のマンガはそれで売っていたらしい。

松潤はこの作品で何がやりたかったのだろう。彼はエロチックな演技がとても上手だからそれがやりたいというなら、分からなくはないけど、そういう、エロだけの路線には行って欲しくないです。で、実際のこの映画の出来は、ちっともエロくないらしいです。本人も、きれいな映画と言っているらしい。

だったら、松潤がやる必要はない。というより、誰も、やる必要はありません。結局、映画という表街道の表現には、この原作の内容を出すわけにはいかないという良識が働いたのでしょう。つまり禁断だという当たり前の事が確認されただけ。

少女誌なのにエロ雑誌だと言われる元本に注意を集めて、行政の監視を促す効果はあったかも。野放しにされている状況は異常ですから。でも、そんなためにこの映画をやったとも思われないし。

松潤は芸術家肌なようだから、色々やってみたいのだろうけれど。破滅的なものに対する嗅覚は養ってほしいと思います。破滅的では見た人を幸せにできないから。ウェブのどこかで、三島由紀夫の作品をやってみたい、と言っていると書いてありました。三島作品の魅力は肯定しますが、三島は最終的には破滅しているのが、全肯定はできません。いいとこ取りで、成長して行ってほしいと思います。

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