火曜日, 7月 31, 2007

ドン・ホセと癌患者の関係?

昨日は鎌倉芸術館のコンサートで、小澤征爾音楽塾オーケストラ&合唱団のビゼーのオペラ『カルメン』を聴いてきました。小澤征爾さんに遭遇した!ことなど、『子育て日記』の方にも書いておきました。

で私は、じっくり『カルメン』を聴いたのは、初めて。フランス語でしたが、舞台の両脇に大きな縦長の電光掲示板(のようなもの?)があり、歌詞の日本語訳が出ました。

簡易版のオペラ形式のような上演で、舞台の前半分にオーケストラ、後ろ半分に一段高く声楽部分の舞台があり、この後ろ部分の舞台と、時々オーケストラの前にも声楽の人たちが出てきました。主要な登場人物は舞台衣装をつけていましたが、多くのその他の登場人物はオーケストラと同じような、スーツ姿やツーピース姿です。それでも、聴いていると、だんだんと普通のオペラ舞台のように華やかな舞台衣装でお話が繰り広げられているかのように見えて来るから、音楽は不思議です。

で、お話は、ジプシー女のカルメンに、ぞっこん惚れたドン・ホセが、振られて、最後はカルメンを刺しちゃうのです。

ドン・ホセ役の志田雄啓さんのテノールが絶品で、切々と恋心を訴え、拒絶されても、追いすがり、さらにすがり、さらにすがり、どうしても思い通りにならないと分かると、やがて恋心が怒りに変わっていく、それを歌い上げる舞台に向かって、思わず身を乗り出して聞き入ってしまいました。

そう、好きなんだね、それでも、だめなのよ、カルメンはあんたの思い通りにはならないんだよ、と、言ってやりたいと思っているうちに、、、、あれあれぇ、、刺しちゃったよ。

それで、物語は終わっちゃうのです。カルメンて、そういうお話だったのですね。

ドン・ホセは馬鹿なやつだねぇ。

恋愛沙汰で相手を殺してしまったり、逆に自分が死んでしまったり、ということは、実際にもありますね。大抵は、実際に殺してしまったり死んでしまったりという手前で、何とか踏みとどまるものですが、そういかない時もあります。踏みとどまれる人であってほしい。全員が。

などと考えてみると、癌患者も似たような場合があるかもしれません。なにせ、NHKスペシャル「なぜ人間は治るのか」によると、癌が治った方で、癌を作るのも自分自身、治るのも自分自身の心による、という方が、沢山おられるのです。

息子が麻薬で逮捕されたのがショックで、それは自分の育て方が悪かったからだ、と思いつめているうちに、自分はきっと白血病になるに違いないと思うようになり、その後本当に白血病になった、とか。色々な方が番組のDVDに出てきます。

こういう場合癌になるのは、あからさまな自殺でなくても、一種の自殺のようなもの。行動で自殺することをしない代わりに、心から発せられた信号によって細胞レベルでの自殺が起こっているのか。

そういう癌を「自分が作った」と、なかなか普通は自覚できないものでしょう。治った人たちは、自覚できた人たち。別の治った人は、まさか、あれだけ立派に生きていたはずなのに、その私の生き方が間違っていたなんて、絶対に認めることはできなかった、でも、自分を生きてはいなかった、やっぱり私の生き方がいけなかったんだ、と分かった、と言っていました。

ドン・ホセに、カルメンは思い通りにならないと納得させるのと同じくらい、難しいのかも。

癌になった私も、ドン・ホセと同じくらいに馬鹿なやつだったのかも。

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