水曜日, 4月 02, 2008

『獅子身中の虫』の色々:きだストーリーの可能性

嵐の大野くんの舞台『プーシリーズEpisodeI「アマツカゼ~天つ風~」』の感想を書きました(3/23記事)が、この舞台を見て、私は思い出したことがあります。

2001年、9.11、同時多発テロ。飛行機をハイジャックして貿易センタービルへ飛び込んだ人たちの心は測り知るべくもないけれど、テロリスト達の中には米国に住んでいた青年もいた、とニュースで聞いたような記憶があります。

きだストーリーで、凪は不動を倒そうと何度も試みたけれど倒せず、それでも不動は凪を退けることをしませんでした。自分の身近に置き続けたのです。
実は、不動は『かくの病』(癌)に侵されている自分の後を継がせるために凪を身近に置いて鍛え育てていたのです。獅子身中の虫であろうとした凪は、敵視していた不動によってむしろ強く育てられ、不動の本当の獅子身中の虫は不動自身の中の病魔だったのです。

そういう一見理不尽な育てられ方は、むしろ普通の親子でもよく見られるものでしょう。

父親が息子に厳しく当たるのは息子に強くあれと願うためであり、息子は反発しつつも実は親の保護の下で成長を遂げるのです。かなわない、という経験をしつつも、ある時、実は意外にお父さんも弱いという事を知って、子供は大人になり親と争うことをやめます。凪が刀を捨てて『風』になったように。

米国に住んだテロリストの青年達は様々な理不尽な経験をしたのだろうけれど、親切にしてもらう経験もゼロではなかったという可能性はあるんじゃないかしら。実は、あの豊かな国の中で様々なものを見につけてもいたでしょう。
彼らは獅子身中の虫となり、反発は極致に達してあの事件が起こったけれど、あの国の本当の病魔は、自省を忘れた資本主義なのかもしれません。何かそういう理解が進んで、あの国に対する怒りが風のように解けるということが可能であったら。

或いは、かつて天安門で警察と衝突した青年達は、中国の体制を脅かす獅子身中の虫と考えられて弾圧されたけれど、中国にとっての本当の獅子身中の虫は、硬直化した共産主義なのかもしれません。風が巻き起こって、あの巨大な矛盾を抱えた中国が、若者達の力を世界の中に活かすことのできる国にソフトランディングできたら。

きださんは大野くんだけを見て書いておられるのかな。大野くんを離れて色々考えさせてくれるストーリーでした。
現実の風はなかなか吹かない。風を起こす役を演じたきださん自身が、実は主役だったのかも?

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