土曜日, 5月 31, 2008

アメリカはどうだったかと言うと(子育て)

日本の会社員女性の子育ては大変すぎて、アメリカはそうじゃなかった、と昨日、書きかけたのですが、書いてみます。10年以上前の経験ですが。ニューヨーク州の田舎での経験です。日本の女性も、もっと楽になってほしいから。

間宮さんがコメントして下さったように、ベビーシッターも、日本より一般的です。あと、保育園も、日本のように、母親が働いていなければ預からない、なんてことは言いません。日本みたいに「保育に欠ける子への”措置”」なんて、ヒドイことは言わないです。

娘を産んだとき、私も、この子を育てながら仕事が続けられるだろうか、と不安になったものです。でも、娘が4ヶ月の時、学会に参加したのです。その時泊まったホテルで、ベビーシッターさんのお世話になりました。忘れもしない、マーガレットさんというおばあさんでした。

プロだから当然なのでしょうが、新米の母親の私よりも子供の気持ちが分かるようで、赤ん坊が喜ぶちょっとしたおもちゃを持ってきて下さって、上手にあやして下さいました。そのベビーシッターさんが、「私が子供達を見てあげている間に、お母さん達は仕事をしたり、楽しい事をしたり、お友達と会ったりすることができるのよ。」と、とても嬉しそうに話して下さいました。仕事をすることについてもとても貴重な事として励まして下さいました。

それを聞いて、こういう方が居て下さるなら、その助けを借りて、私も仕事をしながら子供を育てられるんじゃないかな、という気がしたのです。

保育園も、母親が働いているかどうかが預ける条件なんてことはありませんでした。理由にかかわらず先着順で、毎日でなく週に数回という子もいました。

でもベビーシッターや保育園の事以上に大きな要因は、父親が家庭のことを日本よりもしてくれるということです。子供が生まれる時には父親は2週間くらいは休みをとるのが当たり前で、だから米国でお産をすると病院への入院は2晩だけ。これは、以前どこかで書いたかもしれません。

その後も、子供の世話に限らず、週の半分くらいは夫が夕飯を作ってくれるのは当たり前のようで、ホワイトカラーほど、また、役が上の人ほどそうだったみたいです。

殊に感心したのは、赴任していた会社の社長自らが、ワーキングマザーは素晴らしい、私の母もワーキングマザーだった、と語っていたこと。

アメリカでもグラスシーリングというのはあって(ガラスの壁=見えない差別)、女性の役職者は男性より少なく、女性は何かと仕事の上で苦労するのではないか、と意識されています。だから、女性を尊重する、活用する、と、殊更に言わないと、優秀な女性が集まらないわけです。

だから、建前として日本より働く女性は持ち上げられてたし、多分実際に女性の役職者も日本よりは多かったし、もっと多くしようとしていたのだと思います。逆に、ホワイトカラーの男性は仕事も家事もしなければならず、大変だ、と言われていました。そう変化しているところだったのかもしれません。

だけど、それでも夕飯作りが週の半分なら、日本の多くの女性会社員の家事に比べれば半分ですよね。私の同僚達は夫は毎日深夜にならないと帰ってこない、という人も多いです。日本の女性会社員の方が大変。

さらに、家や交通手段が違います。当時、アパートを探すと、どんな安アパートでも、『最低限の設備』として、大きな食器洗い機と、大きな冷蔵庫と、大きなガスオーブンがついていました。食器洗い機で鍋も洗うし、赤ん坊がかじるようなおもちゃや哺乳瓶の消毒も済んでしまいました。台所の広さも違うのですが。

通勤は車で、通勤時間はかからないし、買い物も楽でした。スーパーのカートもでっかくて、スーパーの中もゆったりで通り道が広くスイスイ通れて、みんなどっさり買い物をしていました。アメリカ人自体もでっかいんですが。缶詰がどっさり入ってたりしました。

で、食事も、日本みたいに手の込んだものは作らないんです。ホワイトカラー男性に夕食は何を作るのかと聞いたら、バーベキューをやるという人が殆どでした。庭で、肉や野菜を焼くわけです。

子供の離乳食も、日本よりずっと手軽です。私が日本の赤ちゃん雑誌を見ながら作ったものを保育園に行く娘に持たせたら、東洋の神秘みたいにびっくりされました。日本の雑誌に乗っている離乳食って、恐ろしく手が込んでますから。米国人の子は最初から最後まで離乳食をビン詰めのペーストで済ませてしまう子も多かったです。

離乳食期が過ぎて保育園の給食を食べるようになると、またびっくりしました。ジャンクフードかと思うような簡単な昼ごはんだったんです。今日はごちそう、という内容が、ピーナツバターとジャムの両方を挟んだサンドイッチだったり、ピザだったり。

ピーナツバターが栄養があるということは最近学んだんですが。

ピーナツバターとジャムと両方入ってるからごちそう、と言われても、当時は判然としなかったです。毎日そんな食事で子供の味覚はどうなるのか、と不安になりました。

米国の食事(外食で)は私には美味しくなかったですが、日本の美味しい食事を準備する手間隙は女性を忙しくしているという一面もあるわけで。レストランでも、ステーキは塩コショウだけで、「ソースはないの?」と聞いたら、それはもっと高級なレストランにしかありません、て言われたもんです。フランス料理やイタリア料理のようなのは無いのです。肉は分厚いのですが。

また、子連れで出かけるにはベビーカーを使いますが、車椅子と同様に、通れない所というのはないのです。

どんな田舎の駅でも(無人の駅でも)、階段がある所には必ずエレベーターがありました。デパートなどでも、エスカレーターがある所には必ずすぐ近くにエレベーターがあります。それは人権として保証されている、と、米国人の同僚が言っていました。

日本のように駅の階段をヨイコラショと、でっかい荷物を抱えながら子供を乗せたベビーカーを母親が持ち上げて上り下りしなければならないなんてことは、あり得ない。また日本のように、エスカレーターの他にエレベーターがあってもず~っと歩いた先の離れた所だなんてことも、ない。それでは、ベビーカーや車椅子の人が、他の同行者と一緒に行動できなくなってしまうからです。

日本の駅にエレベータが無く、母親達にベビーカーを抱えて階段の上り下りをさせていたのは、日本の恥だと思っていましたが、最近、うちの最寄り駅にはエレベーターがつきました。少しずつ変わってきています。でも、横浜のみなとみらいなど、大きなピカピカのショッピングモールで、エレベーターがエスカレーターのそばに無いのは恥ずかしいです。

また、米国のショッピングモールで、授乳コーナーのそばにオシメ替えのコーナーがあるのですが、広く、男性も入れるのです。お父さんたちもよくオシメ替えをしていましたし、お父さんも含めて親同士で会話もできます。子連れの買い物は疲れますから、ここはホッと憩える場所だったのです。日本の、ピカピカのショッピングモールで、授乳コーナーが狭いのは、これも恥ずかしくみじめな思いがします。お父さんが入れるオシメ替えコーナーができるのはいつのことでしょうか。

日本の女性会社員がアメリカと同様に楽になるためには、思いついた範囲で、

・ベビーシッターや保育園を利用しやすくし、

・男性達に週の半分は夕食を作ってもらえるように、早く帰って来てもらえるようにし、

・子供が生まれたら父親も長期の育児休暇を取るようにし、

・会社の上層部が率先して女性を尊重して活用するようにし、

・今あるマンションを建て替えて、台所を広くして大きな食器洗い機をつけ、

・会社と住居を近くして通勤時間を短くし、

・スーパーも広くして買い物しやすくし、

・駅やデパートやショッピングモールの改造をして、エレベーターをつけ、授乳コーナーとお父さんも入れるオシメ替えコーナーを作ってもらう

必要が、あります。

何年かかるか分かりませんが。

当時、会社で教わった英会話の先生が、アメリカも20年かかって変わった、と言っていました。

日本も、変えて行きましょう。10年前に比べれば変わっています。

後から来る人たちほどいい時代です。 私達の娘達の時代には、さらに変わってると思います。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

へえ~、ほお~、と読みました。そうか、アメリカでの子育てはそんななのか。

世の中には子どもを預ける先が無く困ってる人がいる一方で、たまには乳幼児と戯れたいと考える私のようなものもいるわけで。

姫路市でもそういう双方の橋渡し的な制度があったと思うけど実際にはどれぐらい活用されてるのか知らない。

授乳室のみじめな環境、とか、エレベーターの有無とか、ちょっと考えるだけで改善されそうなことなのにね。

オルゴールぴょん さんのコメント...

私もやりたいと思うことあります(^^)。
乳幼児の面倒みるのって体力いるけど、マーガレットさんはおばあさんだったけど、ゼロ歳児専門で預かってるって言ってました。

ホテルに登録して(シッター会社かもしれないけど窓口はホテル)、不定期に呼ばれてホテルの部屋で子供をみてるわけ。老後のアルバイトには良さそうだよね。で、若いお母さんを思い切り励ましてあげたいなぁ。

日本でもシッターさんを頼めるホテルもあるみたいです。働き口、あるかもよ。

匿名 さんのコメント...

うわわわってなんだか目から鱗なお話でした。
やっぱり私も海外がどんな風なんだろう?っていうのを見てみないと、自分自身も気付いてないことがたくさんなんです。

働くお母さんは増えてきたけど、みんな旦那さんの帰りは子供の寝た後なんです。
一緒に暮らしてるのに、お父さんと子供はスキンシップがないんです!これって本当に家族なの!?って凄く思いました。
「働くお母さん」は推奨気味になっているのに、あまりそのお母さんをもっと助けようって考え方はなくて、お母さんは苦労して当たり前なのよ!って言われてしまいます。

ゴルぴょんさんの仰るように、「恥」なんだって思うような雰囲気があればいいんですけどねぇ。
保育園が始まってみんなにかわいそうかわいそうって言われたんですけど、お迎えに行ったときに他の子供達や保育士さんともう一緒に遊べてる息子を見たら、私はむしろよかったと思いました。

オルゴールぴょん さんのコメント...

間宮さんこんばんは。お母さんは苦労して当たり前なんて、あんまりですよね。子育ては楽しくて当たり前なはず。日本のお母さんは、もっともっと楽しないと。

手っ取り早く変えられるのは、お父さん! 確かに帰りが遅いお父さんが多いのだけど、私の女性同僚の旦那さん(これまた同僚)で、米国ホワイトカラー役職者並みに、週の半分は夕食を作るという人も結構多いです(3人はいる)。良く考えれば当然のことだから、日本の男性もできるはず。
労働環境がグローバリゼーションとかのために厳しいということはあるのですが、それは米国も同じなんです。米国の労働者は概して日本人みたいには働かないのだけど、役職者はモーレツに働いてます。でなければ負けるから。でも女性と同じくらいの大変さは担ってもらっていいハズってことで、米国の男性は頑張ってるのです。だから向こうの男性も大変だと言われているのね。日本の男性も頑張ってほしいです。きっとお父さんにとっても貴重な見返りがあるはずだから。

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