木曜日, 7月 17, 2008

訴訟対応の調査

競合他社との交渉が始まります。「この特許、使ってるでしょ」と言われ、使っていたら、何億円も払わなければなりません。

で、使ってはいるけれど、昔から知っているような技術で、相手の特許だと言われても納得できない場合、この特許を無効化するようなもっと古い文献を探します。特許庁が特許として許可したものを覆すわけですから、なかなか見つかりません。

調査の師匠が調べていましたが、見つからないからもし興味があれば探してみるようにと言われました。私の目から見ると納得できない特許です。我々の方がその領域はずっと先にやってるのです。そんなの、特許にしてたとは知らなかった、という感じです。

特許はもう師匠が1万件以上見たということなので、特許以外の文献を探しました。論文、学会発表、雑誌など。無効化のためには、相手の特許が出願された日付よりも前で、同じ内容を含むものを探さねばなりません。

久しぶりに論文をたくさん読みました。特許部に移って以来、図書室には入れない、と言われていたのですが、実は入れることが分かりました。最近は文献も電子ジャーナルと言って、ウェブで殆どが見られます。開発と違い特許部の人間は見られない、という話がありましたが、実はPCの設定をすれば見られることが分かりました。

それでも見つからず、電子ジャーナルに載っていない小さな学会の古い予稿を調べに技術部の部屋まで行きましたが、載っていませんでした。

どうも、師匠に言われたよりももっと細かい観点で見方を変えて探した方が良さそうだと思い、また特許の方を探してみたところ、師匠が最重要と言っていた米国特許と同じものが、日本にも出願されているのを見つけました。

つらつらとその公報を読んでみると、その最重要特許でまだ足りないと言われていた内容について、微妙にOKなのではないか、と読めました。よくよく読むと、無効化のための論点を満たしているのです。

本当にその無効化特許文献でOKかどうかは、交渉担当の人の考え方と交渉相手の出方次第です。でも、あんな特許で持っていかれるのはいやだから、勝ってほしいです。

何億円、払わなくても済んでも、ボーナスは大して上がらないそうです。

調査は裏方。でも調査結果があってこそ、交渉担当の方は戦えるのです。

もう、後は任せることになりました。机の上には別の調査の山がやってきました。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

改めて、水面下で戦うってカンジのお仕事ですね。
とても地味だけどとても大切なお仕事です。
特許のことは学校とか会社でも勉強したんですが、やはり華々しい表舞台の話ばかりで、でも実際にはこういう努力ナシでは輝けないものなんですよね。
地道な努力でも、やるだけやって後は背中を押すような達成感があるっていいなぁって思いました。
凄いです。

オルゴールぴょん さんのコメント...

間宮さん、いらっしゃい。

特許の係争関係は法律が係わる仕事でむしろ文系の分野です。特許調査に限らず、エンジニアの仕事は概して地味ですよね。でも面白いし、喜びがあるからか上司に追い立てられるからか、お給料も度外視して働いてしまうことも多いようです。皆頑張っているのを知っているから、良いサポートができるような調査マン(ウーマン)になりたいと思います。

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